Regarding VINCE&CO
大阪にある複数の革工場とEC事業を展開しているフリーランスが手を組みファクトリーブランドの展開とOEMなど従来の機能を継続した新しいカタチの革工場です。
自社ブランドやホームページやを持たない住吉区・東成区・東大阪・柏原・大和高田(靴下)に拠点を置く複数の工場が連携して工場単位では難しかった販売・ブランディング・マネジメント・生産管理を1ヵ所に集結させたがVINCE&COです。
個々の工場での従来の事業はそのままに複数の工場傘下の立ち位置で「VINCENT CRAFTED」「UBRI」「VINCE MADE」3つのファクトリーブランドを展開しています。
今後、展示会や卸事業、OEMも積極的に取り組む予定です。
VINCE&CO立ち上げの経緯
高齢化により幕を下ろす工場の職人たち。
長年にわたりお世話になっている
40年以上の歴史があり
東大阪に拠点をおく老舗革工場も
例外ではなくこの問題に直面していました。
革業界は職人の絶対数も少なく20代の職人は稀と言う職人事情があります。現役職人のほとんどが60歳、70歳、80歳のおじいちゃんです。このままでは革職人によるメイドインジャパンはなくなってしまう危機です。この工場とゆっくり話する機会があって下請けの状況や職人事情などいままで聞く事のなかった内情をお互い話す事から始まり、ざっくばらんにたくさんの話していると
突然、舞い込むもので
齢80歳の革職人が若い職人を育てると言う目標を掲げ
自身のブランドで勝負できる環境を作りたいと言う話が持ち上がります。
そうなると話は早く
EC販売や企画・戦略が得意な僕たちと革工場・革職人が手を組み工場傘下のファクトリーブランドをやろう
そして立ち上げたのが「VINCENT CRAFTED」です。
こういった下請け工場はどの業種でも多く存在していてとても良いとは言えない条件・環境で仕事を受けて工場を回しているのが常識の世界です。この様な工場が自社ブランドを持つと言うのは簡単そうでなかなか難しいのが現状です。そもそも40年もの年月を1つのことに捧げてきた現状を崩すことは容易ではありません。
ブランドを作ると言う目標に対して僕たちと職人さんお互いが向き合い問題点を1つ1つクリアにしていくことで、僕だけではできず、革工場だけでもできない、協力したから生まれるモノがあります。そして、たくさんの人の想いが集まってできた商品には魂が宿ると信じています。
こうして、先だって立ち上げた「VINCENT CRAFTED」は2020年7月現在
半年くらいのブランド運営期間ながら自社販売で1000個以上の販売実績を作っています。
そして「VINCENT CRAFTED」を進めていく中で工場同士の横の繋がりもあり他の工場さんからもお声がかかりはじめます。
どの工場もホームページがなくネットからは全くたどり着けない運営状況でした。
それならマネジメントを含めたブランド運営は僕たちが行い、1つの屋号で発信できる場所を作ろと思い
2020年6月、VINCE&COを立ち上げる事になりました。
工場傘下のファクトリーブランド

「VINCENT CRAFTED」
齢80歳の革職人が現役で活躍する老舗革工場が基本的に製造を行う「VINCENT CRAFTED」は、長い年月の中で職人と工場が培った技術をすべて注いだプロダクトを展開しています。栃木レザーをメインに他にない栃木レザーペイズリー型押しや栃木レザークロコダイル型押しなど世のなかに出回っていない希少な革をオリジナルで製作。
「UBRI」
新たに立ち上げた「UBRI」では違ったアプローチを行っています。「VINCENT CRAFTED」の男女若手職人がメインとなりその仲間(デザイナー・バイヤー)を加え、複数の工場が関わりレディースプロダクト・新しい革・カタチ・構造への探求、異素材との組み合わせ、他の分野・職人とのコラボなど工場の内外を問わず様々なカテゴリで新しい挑戦を続けています。第一弾は鞄工場の協力のもと革とバリスティックナイロンを組み合わせたプロダクトを展開。「VINCENT CRAFTED」にはない女性をターゲットにした商品も展開予定です。
「VINCE MADE」
「VINCE MADE」はまた違った経緯があり、コロナウィルスの影響でマスクのOEM依頼があり昔からお付き合いのある縫製工場さんと一緒にマスク製作を行っていました。そういった環境の中で、革以外にも作れる工場はたくさんあり、多くの工場がHPもブランドも持たず真摯にモノづくりに励んでいます。それらの服飾雑貨カテゴリの工場でも新しいモノづくりができるのではないかと思い、革工場のノウハウをいかして始めたのが「VINCE MADE」です。第一弾として大和高田の靴下工場と一緒にメイドイン奈良の靴下を展開します。
それぞれのブランド詳細は、こちらの記事でまとめています。
- 「VINCENT CRAFTED」について
- 「UBRI」について
- 「VINCE MADE」について
わたしたちの繋がりと強み
下請け職人に依頼するメーカーは安く安くが常識の世界です。そのため革、金具、部材メーカーとの強い繋がりあって成り立っていました。その様な背景から昔ながらの安価な流通価格で革、金具、部材などを仕入れる事が出来ます。
革工場従来のの流通形態を取っ払い
※『 下請け職人 → メーカー → 商社 → 小売店 → 消費者 』を廃止
職人からユーザーへ直接的な販売を意識した取り組みでハンドメイドによる国内生産ながらリーズナブルに提供できる価格体制を確立しています。ありえないと言っても過言ではない価格ながら無理のない利益を確保できています。
僕の経験上、誰かの金銭的犠牲や時間的な無理強いで商品が出来ていることが多いのがこの世界
職人・工場・革・資材メーカーの協力があって成り立つ事に感謝を忘れず
商品が完成してお客様にお届けするまでに関わる全ての人が幸せであるために
新しい仕組みを確立していきたいと思います。
職人ポリシー

- 革・素材を選ぶ。
- 壊れにくく飽きのこないデザインを考える。
- 時間と手間を惜しまず丁寧な手仕事をする。
これが私たちの「モノ作り」の基本です。
職人たちの答え

使うほど愛着が溢れる革製品だからこそ末永く使って頂きたいと言う思いからご購入頂いたVINCENT CRAFTEDの商品は一生涯無料で修理させて頂いております。また、何年も使って頂く革製品なので到着後イメージと違った場合は返品・交換をお受けしております。初回のみ送料はこちらで負担させて頂きます。
これがVINCE&COに携わる職人たちの答えです。
「VINCENT CRAFTED」「UBRI」の革製品が対象になります。
複数の工場を集結させるメリットとデメリット
新しい取り組みでモノ作りをすると難しい事に直面します。そして、1つの工場で出来ること、出来ないことは明確です。逆に言えば得な製品だと1ヶ月もかからず新作を作れたりもします。得意分野を伸ばすのか、出来ないことに挑戦するかはどの世界においても重要なことです。ぼくたちもこの問題に直面してバランスのとれた選択をした中からいいモノを作り続けたいと思います。
メリット
- 商品の幅が広がる
- 工場に振り分ける事で革を余すことなく使い切ることが出来る(管理が大変)
- 低コストでの販売が可能
- 新しい工場や技術を教えてもらう事ができる
メリット(工場)
- 従来の工場の仕事はそのままでブランド展開が出来る
- 工場発のブランドを持つことが出来て工場のブランディングにも繋がる
- 全くなかったHPやEC販売を強化できる
デメリット
- 革やカシメ、ファスナーなどの調達に時間と管理体制が必要になる
- 生産管理・在庫のストックに手間と場所がかかる
レザーブランドを立ち上げる難しい点
- 200デシから300デシの半裁革(横幅が2メートル以上)にかかるコストと管理
- カシメやファスナーなどの部材の調達に時間と管理体制が必要になる
- 新商品製作に時間がかかる。デザイン・構造・サンプル・図面・金型作りなど
- 生産に時間とお金がかかる。特に国内での大量生産には向かない
- 基本的に納期が遅れる
- 市場にはたくさんの革製品があり価格設定も多岐にわたるため新規参入が難しい
- 高額の商品になるのでブランドの信頼を得るのに時間がかかる(ブランディング)
最後に
あれよあれよと。工場さんとの何気ない話からブランドを立ち上げ、複数の工場さんからも声をかけてもらい、新しい取り組みとして工場の集合体傘下のファクトリーブランドというカタチに至りました。そして、ブランド運営、EC販売、HP・ブログの構築と発信する場所を増やしていく中で、横のつながりも強くなり良いチームができています。
ただし、このプロジェクトが成功するかはわかりません。ただ、作るモノの品質はすごく高いのは確かです。ここまで仕組みや取り組み、チームとかさんざん書いてきましたが、最後にモノを言うのが、「作る商品が良いのか」につきます。商品の持つパワーこそ最大の武器です。そこに自信があるからこそ、やりがいがあります。たくさんの人が関わり繋がりながらこれからも良い商品を世の中に送り出せればいいなと思います。

P.S
ブランド運営を進める中で思ったことがあります。長くやられている工場さんほど、HPがなかったりファックスで注文を受けていたり労働時間がありえなかったりと今のビジネスススタイルと真逆の運営をしています。この状況を変えたいわけではないですが、このプロジェクトがきっかけで少しでも変わればとひそかに思っています。