皮革界の日の丸を背負う栃木レザー株式会社

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栃木レザー=栃木レザー株式会社

栃木レザー=1937年から続く老舗の栃木レザー株式会社が製造する革の呼称
栃木レザー株式会社=牛ヌメ革 (ベジタブルタンニン鞣し革)を専門に製造するタンナー

というわけで世に出回っている栃木レザーは基本的には栃木レザー株式会社と言う革タンナーのオリジナル商品になります。皆様も見た事がある方が多いと思いますが、その品質の証明として通称赤タグ(栃木レザー株式会社品質証明書)が発行されています。もちろん、栃木県で作られる革全般は栃木レザーと呼びますので、偽物や本物と言ったことはないのですが、栃木レザー株式会社が作る革には赤タグが証となっています。そこで区別ができると言う話です。これには物語があり栃木レザー株式会社は今の社名で実は30年前くらいに一度経営破綻をしており経営を立ちなおす施策として大阪の革商社さんとタッグを組んで革業界では初めてになる大規模なブランディングを行い大成功を収めた結果、栃木レザー株式会社として復活を遂げ今の栃木レザーがあります。

わかりやすい事例として最も国内で有名なのは今治タオルでしょう。栃木レザー株式会社同様に品質を守る組合がありそこに加盟できた技術の高い工場だけが今治タオルのタグをつける事が許されるシステムと同じです。栃木レザー株式会社の場合はそれを会社単一で成し遂げたわけで、その観点から見ても素晴らしいの一言です。

  • そもそも革タンナーとしての実力は国内屈指。
  • 良い革を作る会社が良いブランディングを行い
  • 多くの職人のお眼鏡にとまり
  • 世の中に良い革を流通させた
  • その功績は非常に大きい

と革に携わる者としてすごく思います。

栃木レザー株式会社とは

会社設立から一貫して原皮調達から鞣し、オイル・染色・プレス加工、出荷まで自社で行い天然由来の「ベジタブルタンニン鞣し」を製作しており「ピット製法」で鞣した本ヌメ革にとても強いこだわりがあります。原皮から革になるまで、20~25もの工程を経て手間と時間をかけ伝統でもある独自の鞣し方法でしなやかで堅牢な革へ仕上げます。そして栃木レザー株式会社では本来捨てるはずの皮を再利用した天然素材の副産物と考え人間の知恵で捨てることなく利用できる資源に変え生き物への感謝を込めて革を作っています。また、皮をなめす過程では、大量の水を必要とします。工場では地下水を使い、製造過程でうまれた廃水は、工場に併設された大規模な排水設備で浄水してから川へ流す所までの管理を徹底している環境へも配慮した貴重なタンナーでもあります。

ベジタブルタンニン鞣し&ピット製法

ベジタブルタンニン鞣し

動物の皮は、そのままの状態で使用すると腐敗したり、柔軟性がなくなっていきます。それを防ぐために樹液や薬品に漬け込み、皮から革へ変化させることを「鞣し」と言います。鞣しには2種類の製法が簡単に言えば天然由来の植物性タンニンを使用する鞣し方「タンニン鞣し」とクロムという化学薬品を使う鞣し方「クロム鞣し」です。「栃木レザー」は創業当初の戦前からから天然由来の「タンニン鞣し」にこだわりこのタンニン鞣しで仕上げられた革はしなやかさがあり硬くて丈夫。さらに型崩れしにくいのが特徴。しかし、太陽の光や手の油分、空気中の水分などに影響しやすいためオイルを塗るなど定期的なメンテナンスをしてあげる必要がある。ただし、ここに経年変化と呼ばれるエイジングによる変化を楽しむ醍醐味があります。

ピット製法

「栃木レザー」が採用している「ピット製法」と呼ばれる鞣しは植物性タンニン溶液の入った160ものピット槽に漬け込み鞣し上げる工程で、薄いタンニン槽から濃いタンニン槽へと順番に漬け込んでいきタンニンが自然に浸透するためには漬け込みに約20日間かかります。手間と時間を掛け「皮」から「革」へ仕上げるのが「栃木レザー」伝統です。また「ピット製法」は手間も時間もかかる上に設備のコストと広大な敷地を要するため国内ではほとんど行われなくなった製法でもあります。

20~25もの工程を経て手間と時間をかけて完成する栃木レザー

こうして完成した革は、かつてヌメ革は丈夫だが硬すぎて加工できない原皮に同じものがないため品質が安定しないなど言われていましたがこの手間と時間を掛けた「栃木レザーのヌメ革」が世界を変えました。同じタンニン鞣しのヌメ革と異なる特徴を持った革こそが「栃木レザー」であり伝統を受け継ぎ職人の手間と技術があってこその「栃木レザー」なのです。

ここで述べる必要もないくらいたくさん栃木レザーの情報はでてきます。なので、うまくまとめられている創業1899年老舗革メーカーの山藤さんのブログに詳しく書いています。
山藤さんのブログ

これだけは伝えたい特徴

経年変化を楽しめることが最大の魅力。

深く熟成するエイジングの素晴らしさは革の素材を限りなく生かす製法にあり

無農薬野菜と同じで虫に食われることやがある様に栃木レザーは傷やシミが存在します。
これは化学の力で作られた腐らないコンビニのおにぎりと違い
生き物の命から原皮を取り革へと命を繋ぐ天然由来の栃木レザー株式会社オリジナル製法の証です。
その傷こそが栃木レザーの品質の証明でもあります。

他の主な特徴

  • 芯通しと言われる染色技術の高さ
  • 丁寧な技術に裏付けされたトリ(製品に使える部分)の良さ
  • なによりタフで丈夫
  • ハリがあっても柔らかく革小物への加工のしやすさ

※画像の一部は栃木レザー株式会社から引用しています。

この記事を書いた人

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J

Buyer / Blogger

1982.OSAKA さそり座のAB型
&LOG運営:J(ジェイ)
趣味散漫、日々散財。シンプリストの逆側の人間。
のんびりと古民家で暮らしています。

大阪堀江のとあるセレクトショップのバイヤー、WEBショップのディレクターを経て独立。
現在はレザーブランドを立ち上げ自身のWEBショップを運営中。その一方、ファッションを中心に様々な知見のもとオウドメディアなどWEB媒体でのディレクション・マーケティングを手掛ける。

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